君の目に世界は

 日が暮れるまで選挙カーから叫び声が飛んでいた。衆院選。「戦後初めての本格的な政権交代になる」らしい。いろいろと、何かしらは、変わるだろう。ただ、「まず、政権交代」とか「責任力」とかいった言葉ばかり目に付く中で、どこに向かって進んで行こうとしてるのか、いまひとつ分からない。様々な部分で行き詰まりが感じられるこの時代に、生まれてくる子供たちは、はたして幸せだろうか。

 つい先日、男の子が産まれた。妻のお腹から出てきた数十分後、腕に抱いた。ずっしり重い。はっきりとした黒目が、本能なのか好奇心なのか、きょろきょろと動く。その眼に、この世界はどう映っただろうか。この先、どんなものを見るんだろうか。その眼差しがいつか失望や無気力のものに変わらないように、少しでも真っ当な世の中であるために、やれることをやらねばならないと思った。